習い事【社長Blog on 木心通信vol.169】

平尾工務店 代表取締役 平尾博之

我が家の孫娘のピアノの発表会に行ってきました。
少し前に比べ、大きく上達した演奏に聞き入ったと同時に、これまでの努力が報われた事を思い、少しばかり目頭が熱くなりました。終わった後の孫娘の満足そうな表情と、努力した後の結果に対する誇らしそうな笑顔が印象的でした。
ピアノを習い始めた頃は、なかなか進歩を実感できない事もあり、理由を付けては練習をさぼる事が多かった時期、私の妻の傍にいての付き切りの練習は、半泣きになりながらの苦しい時間だったと思います。時には厳しい言葉で、時には褒め挙げる言葉を並べ、家内との練習は発表会が近づくにつれ熱の籠ったものになっていました。
始めて間がない幼い子供にとっては、ピアノの練習はそんな半強制的な周りの者の支援や激励があってこそ本当に上達していくというのが、子供たちの「習い事」の世界の様です。

私達が関わる住宅建設業を見ると、大工さん・左官さん・屋根屋さん・建具屋さん等々、その道の匠と呼ばれる職人さん達の『技の集大成』の仕事と言えます。
しかしながら、近年はその職人への成り手が極度に減少し、先輩職人の高齢化での引退と合わせ、将来の建設業の労働者不足は深刻な社会問題となってきています。

職人としての技(匠)を習得するには、師匠や先輩の下での年単位の修業が必要です。一朝一夕には職人に成れませんし、その間一人前の報酬が期待できないのが現実です。
「下積み」という、「習い事」の期間が相応に必要なのは当然です。しかし、近年の状況は、このような下積みを「辛抱」して職人を目指す若者も少なく、また、その道に入っても継続できない若者が多いのが実情です。もっと楽に、一人前の社会人として扱ってもらえる職種は他に身近にあるからです。
ピアノの「習い事」の様に、親・身内が付きっ切りで叱咤激励できるものでもありませんし、昔の様にハングリーな時代ではないので、若い職人が育たないのかもしれません。
建設業の後継者育成は、なかなか「習い事」の世界の様には上手く進みません。
「すまいを作る」という仕事は、いつの時代になっても必要不可欠です。仕事に誇りを持って打ち込める若手職人を育成する為に、私たち工務店も物心両面での支援が必要な時代に成ってきたことを実感する昨今です。

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