即席麺【社長Blog on 木心通信vol.176】

平尾工務店 代表取締役 平尾博之

 保育園に通っていた頃、我が家に「日清チキンラーメン」が出現しました。「3分で直ぐ食べれます」がキャッチフレーズ。
 それまでは、母親か祖母の手作りの食事が当たり前の我が家に、家族の手を煩わせずに食事が自前で出来る食品の出現は、まさにカルチャーショックの出来事でした。
 最初の頃は、どんぶり容器に入れてお湯掛ける説明書き通りの食べ方から、一人鍋にして煮込み、生卵や刻んだキャベツを入れてアレンジし食べる事を覚えました。
 こんな手軽で安価で美味しい即席麺は、高度成長期で寸暇を惜しんで働いていた日本人の間に、瞬く間に浸透して行った様に思われます。そして、世界各地へと一気に普及し必需品になりました。一種の「社会インフラ」になった感が有ります。

 先日、経済新聞に即席麵の記事に、目に止まりました。
「世界で即席麺の消費拡大 経済的には危険信号」というタイトルのFINANCIAL TIMESの記事でした。
「即席麵の需要の高まりは社会や経済の『危険信号』の様相を呈している。」という内容です。

 調査によれば、2022年の即席麵の販売量は過去最高の1210億食に達し、18年からでは約17%増えた。米英の先進国ですら5年前から14%増加し、途上国のナイジェリアやバングラデッシュ、トルコといった国々では53%から425%もの増加をしている様です。

 新型コロナ禍によるパンデミックやロックダウン(都市封鎖)、食料供給の混乱だけでなく、料理習慣の無い人々や飢餓と闘っている人たちにとっては、即席麺は最強の食品で、「安く、早く、手軽に」空腹を満たす手段として、手頃な価格で腹持ちの良い高カロリー食を提供する役割を担ったのです。
 紙面は、ここまでの表現で終わっていますので、深い真意は想像になります。

 これまでの人類の発展(社会制度や経済面)の歴史では、第一義的に飢餓や貧しさと闘い、自分たちの生活改善や発展を願って日々努力するという人々の欲求に対する創造力を基にした「進歩」の歴史が有りました。その点では、食を満たすための英知や情熱の結集が、「即席麺の拡大」という視点で見ると、「危険信号」のバロメーターとなるのかもしれません。

 新しい年度のスタートを機に、当社では社員食堂での昼食を無料化する方向で進めたいと考えています。

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